from 一心塾 ー 心身教育研究所 ー

カウンセリング、フォーカシング、仏教、ヨーガ

フェルトセンスの出現を待つ <一心塾だより 第41号>

 コロナ巣ごもりも終わりが見えて来ましたね。油断は禁物ですが、ちょっと出掛けて気分転換したいところです。

 ところで、出かけようと思ったとき、どの服を着ていこうかと迷うことがあると思います。ここできちんとフォーカシングするなら、きっと適度に自己表現と協調性のあるファッションになるのだろうと思います。でも大抵はあれこれ迷う時間もなく、「いつものやつ」を着ていくことになります。

 フォーカシングしてみたら良いんじゃないかという局面は、日常の中に数限りなくあるのでしょう。しかしそのほとんどは「いつものやつ」で片付けられてしまいます。ちょっと違ったことをやったとしても、それは単に感情や気分に左右されているだけなのかもしれません。

 もし少しでも「いつものやつ」に違和感があるのなら、一度きちんとセルフ・フォーカシングしてみてはいかがでしょうか。ふと違和感を感じた瞬間に、「このことについて、あとでフォーカシングしよう」とメモしておくことがおすすめです。なかなかその場では時間がなくて、できないことが多いですから。

 一人でフォーカシングするときには、30秒くらい掛けて、そのこと(例えば服のこと)についてのフェルトセンスの出現を待ちます。フェルトセンスは、「出現する前から、すでにそこにあるものでも、その下に隠れているものでもないことをもう一度強調したい。(中略)それは以前にそこにあったものからやってくるものではあるが、人は、それが今やってくるのを感じるし、それ自体としてすでにあったものではないと感じる。フェルトセンスの出現はからだの変化なのである」(フォーカシング指向心理療法(下)p300)とジェンドリンは述べています。

 フェルトセンスの出現を30秒待つ、という手続きの習慣づけは今後強調していきたいと思っています。それこそがフォーカシングの要なのですから。

 そしてそれは、一歩進んだマインドフルネスであると思います。頭の中でぐるぐる考えることを一時的にストップさせるだけでなく、思考を落ち着く方向へ導いてくれる本物の解決をもたらします。