from 一心塾 ー 心身教育研究所 ー

カウンセリング、フォーカシング、仏教、ヨーガ

正直であること

 ヨーガ修行の最初は「ヤマ」(禁戒)を身につけることであると言われています。非暴力、盗まない、嘘をつかない、貪らない、禁欲の五つがあります。

 非暴力については以前、このブログで少し触れたが、嘘をつかない、つまり「正直であること」もまた守り難い戒です。嘘をついてでも大事なものを守らないければならないことはあります。常識的に考えてその場では嘘をつく方が良いという場合は別にして、ここでは、我が身を守るためについ言ってしまう嘘について考えてみましょう。

 とっさに守ってしまう「我が身」というのは、得てしてプライドが関わっています。正直であるためには、プライドを捨てなければなりません。これが非常に勇気がいるのです。本当のことを言えば人から低く見られてしまいかねないから、ちょっと取り繕ります。そうやって小さな自我が塗り固められていくのです。そんな風に取り繕うことが、傍目には逆に小さい人間に映ってしまうことも頭の隅でわかってはいるのです。それでも取り繕わずにいられないのです。正直の禁戒の深い意味はここにあります。

 もし、プライドを捨てて、取り繕うのをやめれば、逆に信頼を得る。小我をもたない素晴らしい人物だと賞賛されるでしょう。

 ただ、一つ気をつけなければなりません。何でもかんでも明け透けに自分のプライバシーを語るのもあまり勧められることではありません。語るべき相手や場を選ぶ必要があります。日頃から、自分がつい守ろうとしてしまうプライドに気づいていて、それを取り繕わないよう心がけていれば正直の禁戒はいつか守れるようになるでしょう。