from 一心塾 ー 心身教育研究所 ー

カウンセリング、フォーカシング、仏教、ヨーガ

気づきとフィードバック

マインドフルネス・ヨーガでは、アーサナ(ポーズ)を行うときに、最初に刺激のあるところの感じに気づくようにします。たとえば図の前屈のアーサナでは、膝の裏、太ももの裏、腰などに刺激がありますので、最初は自然とそこに意識が行きます。頑張って伸ばそうとするのは厳禁です。ただその部分の感じに気づいています。するとだんだん筋肉が緩んできて、体がアーサナに馴染んできます。

 次に全身の感じに気づくようにします。気づかないところで腹筋や腕に力が入っていたりするものですから、そうと気づいたら緩めるようにします。ここに「気づき」と「フィードバック」があります。つまり、緊張に気づいたから「緩める」というフィードバックが行われたということです。

 一般的にマインドフルネスは「気づき」のみが強調されます。たとえば、「外で鳥が鳴いている」とか「右肩が凝っている」とか。しかし、ヨーガを行っているときのように、能動的に何か動作をしているときには、必ず気づきにフィードバックが伴います。それによって初めて理に叶った動作ができるのです。ヨーガの場合は「動作」というより、「美しい姿勢」といった方が良いでしょう。全身の隅々にまで、気づきが行き渡ることで、隙きのない美しいアーサナが完成します。それは体の硬さには関係ありません。硬いなりに美しい姿勢になることはできるのです。

 全身の隅々に気づいて、なおかつフィードバックさせるときに、完全にそれを意識的に行うことは恐らくできないと思います。半分自動的にそれは為されます。ですから気づいてさえいれば、半分は美しい姿勢に至るということになります。でもそれで良いのです。意識的なフィードバックは過剰になりやすいでしょうから。ということで、やはり「気づき」が大事なのですが、ここで申し上げたいのは、フィードバックは半自動的に起こっているといこと。それによって美しい”表現”が可能になるということです。

 初期仏教経典に『四念処経』というマインドフルネスを説いた経典があり、「修行者は、からだにおいてからだを観察する」という表現が出てきます。観察とは「気づき」と読み替えて良いでしょう。「からだにおいて」というところが分かりにくいところですが、恐らく、ここで述べたように、半分自動的にフィードバックが起こるような気づきのことを言っているのだと思います。そしてマインドフルネスの理解には、ここは非常に重要だと思うのです。

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