from 一心塾 ー 心身教育研究所 ー

カウンセリング、フォーカシング、仏教、ヨーガ

犬も歩けば

十牛図」をご存じだろうか。禅の悟りのプロセスを表すとされている。
 これにヒントを得て、マインドフルネス・ヨーガ流に瞑想の方法を犬の散歩の様子に喩えて説明してみよう。
 飼い主Aは道草したがる犬を無理に引っ張り飼い主に従わせようとする。
 飼い主Bは逆に犬の方が主導権を持っていて、急に走り出す犬に引っ張られたり飼い主はさんざんな目に遭っている。
 飼い主Cは犬の気持ちを良く理解し、犬も飼い主の気持ちを察しているので散歩もスムース。
 さてここに登場する犬は私たちの「心」、飼い主は心をコントロールしようとしている「意志」。瞑想すると心は綱を外された犬のようにあっちへうろうろ、こっちでクンクン。定まるところを知らず、終いには居眠り。飼い主Bはこんなワンちゃんに連れ回されているだけ。「こんなことではいけない」と考えて何とか集中しようとがんばるのは飼い主A。呼吸を数えてみたり、マントラを唱え続けてみたりする。それはそれで瞑想したような気分になる。
 飼い主Cは犬がクンクンし始めたら「ああ、今ここでクンクンしたいんだね」と理解的、そして受容的。犬が歩き出したら「そうか満足したんだな。よし次はどうしようか」と常に犬の動きに寄り添う。Bのように振り回されているわけではない。次第に犬は満足感を得て、自然な集中状態に入る。犬も飼い主もとても充実した感じで、まさに「人犬一体」の境地。これが本来のマインドフルネス。
 
ちなみに十牛図についてはhttp://www.katch.ne.jp/~hkenji/new_page_46.htm に解説されている。