from 一心塾 ー 心身教育研究所 ー

カウンセリング、フォーカシング、仏教、ヨーガ

感情消化力2

 私たちの感情はどのように消化されるのだろうか。私はヨーガを長年教えているので、毎日瞑想する習慣を持っている。瞑想中、さまざまな雑念がやってくる。ポーズを行っている最中も雑念はやってくる。しかし雑念はやがて消えて行く。このとき感情が消化されたのだ。
 仕事か何かに集中しているとき、心はそれに向かって集中している。そのときは雑念は出にくい。雑念はぼんやりしているときに出てくる。ぼんやりしているときに消化が行われているのである。十分にぼんやりすることで雑念はやがて収まる。
 しかし浮かび上がった雑念に囚われて、そのことをまた考え始める人たちがいる。これでは感情は消化されない。また雑念を振り払って別なことに集中しようとする人たちもいる。嫌な記憶から逃れようとするときもそのようにするだろう。これも感情が消化されない原因となる。
 フォーカシングではぼんやりすることに加えて、向き合うことが奨励される。しかもある程度の距離を取って楽に向き合える体勢を作ることが大切だ。そのためには誰か心得のある人が隣にいてくれるとずいぶん助かる。感情が消化される過程がさらに促進する条件を整えるのがフォーカシングなのである。
 感情が消化されると一つの行動が生まれることがよくある。その行動を取ることによって同様の感情に悩まされることが無くなるような行動が導き出されるのだ。
 認知行動療法では行動をセラピストの方から提案するのだが、これが効果があるのは、クライエントが自然に導き出すであろう行動と、セラピストから提案した行動との間のずれがあまり大きくないときだろう。
 いずれにせよ行動すること(例えば掃除、料理、洗濯など)は感情を消化しやすい心の状態を整えてくれる。ちょうど行動が食べ物の消化を助けるようなものだ。