from 一心塾 ー 心身教育研究所 ー

カウンセリング、フォーカシング、仏教、ヨーガ

感情消化力

 心は感情を消化し、それを心のエネルギーに変える機能を持っている。心と胃はとてもよく似ているのだ。ところがストレスがかかることで感情の消化力は低下する。そして消化しきれない感情が身体に溜まって、それがまたストレスの元となる。つまり悪循環が起こるのである。
 胃で消化されなかったものは「未消化物(アーマ)」として筋肉に溜まり、筋肉を硬くし、さまざまな病気を引き起こすとアーユルベーダでは説いている。
 感情は身体のどこにたまるのかといえば、おなか、胸、喉、肩、背中、腰などあらゆるところに溜まる。注意深くあれば、それを「フェルトセンス」として感じることができる。フェルトセンスを感じることができれば、そこから自動的にフォーカシングが始まり、感情消化力は回復される。もちろんフォーカシングのテクニックを知り、またフォーカシングパートナーを持っていれば回復は飛躍的に高まる。
 フォーカシングを行うと心にエネルギーを得るのを感じることができる。感情はポテンシャルエネルギーを持っていると言えるだろう。
 このように考えて、周囲の人たちを想起してみると、感情消化力の低い人が大勢いることがわかる。彼・彼女たちはたまった感情を抑え込んだり、ときに爆発させたりしているが、それによって感情が消化されることがない。だからいつも心のエネルギー不足である。あるいはエネルギーのコントロールがうまく行っていない。
 うつ病といわれる症状も、おそらく相当の感情をため込んだ結果ではないか。発達障害といわれる人たちは、感情の処理がもともとうまく行かず、周囲に感情を丁寧に扱ってくれる人がいないと生きづらいのではないか。などと感情消化力という概念によってさまざまな精神症状の原因を考えることができる。