from 一心塾 ー 心身教育研究所 ー

カウンセリング、フォーカシング、仏教、ヨーガ

探索の楽しさ

「このレバーを押すと餌が出てくるんだ!」と気づいたときに、猿の頭からドーパミンという快楽ホルモンがドパっと出てくる、ということが実験で確かめられています。生活を快適にしたり、愉快さを感じられるものにしたりするのに、私たちがいろいろ探索行動をするのは、そこにワクワクする感覚があるからでしょう。もしドーパミンが出なかったら、ワクワク感もないので、別に今まで通りでいいじゃない、無駄な行動をしないほうがいいじゃない、という考えに落ち着いてしまうことでしょう。

 現代はあまりにも便利なので、あまり探索行動をする必要がなくなりました。ネットですぐに知りたいことがわかりますし、コンビニで美味しいものが簡単に手に入ります。ドーパミンが出にくい世の中だと思います。でもそれでは人生は味気なく、すぐに「何のために生きているんだろう」というような疑問が出てきて、「早くお迎えがこないかなあ」なんて思いに取り憑かれます。

 探索は見知らぬ土地やおいしい食べ物に限ったことではありません。そこは便利になったことを受け入れて、探索の先を、例えば芸術とか読書とか、哲学とか、何かの研究などに向ければよいのではないでしょうか。

 しかしそのためにはベースとなる知識や体験がないと、探索のしようがありません。だからちょっと努力して、少しでも心惹かれることについては入門書から始めて、何冊か本を読むようにします。また実際にその土地に行ってみるようにします。そこから探索は無限に広がっていきます。おそらくそれは、認知症予防にもつながるでしょうし、足腰を衰えさせないでいたいから毎日歩こうというような健康志向にもつながるでしょう。