寝る前のお祈り
『アメリカの小学生が学ぶ教科書』に、向こうの子どもが寝る前に唱える祈りの言葉が載っていました。
Now I Lay Me 「お休みの祈り」
Now I lay me down to sleep, これからおやすみの床につきます
I pray the Lord my soul to keep. どうか、神さまわたしの魂をお守りください
If I should die before I wake, もしも目覚める前に死んでしまったときには
I pray the Lord my soul to take. どうか、神さま魂はあなたのおそばに
教科書に宗教的な言葉を入れるのは日本では許されないでしょうが、アメリカの子どもたちは17世紀からこの詩を覚えてきたのだそうです。
この祈りの言葉を幼い頃から唱えることは、きっと自死予防につながってきたと私は思います。子どもは死のことを考えたりしないと考えるのは間違いだと思います。子どもには、もしかしたら大人より豊かに想像する力がありますから、死のことを想像することはあるでしょう。でもそれをお母さんに尋ねたら、「そんな事考えないで!」ときっと言われるでしょうね。
そう言われたら、もう自分で考えるしかありません。なんの導きもないままに考えるのは、深い森に一人でさまよい込むような感覚かもしれません。そう考えると、冒頭の詩には深い知恵があります。「心配しなくても大丈夫だよ」と語りかけてくれます。精神の生命保険のようなものです。
宗教と科学は対立するものではありません。いや、対立することがあるとしたらそれは宗教の悪しき部分です。太陽の周りを地球が回っているという観測的事実をカトリック教会は認めないということがかつてありました。今でも、女性は男性より劣っているから要職には就かせられないという、科学的事実に基づかないことを普通に信じている宗教があります。
伝統が偏見を助長します。偏見を打破していくのが科学です。宗教は心の安定のために必要なものなのに、内に偏見を宿していては本末転倒です。宗教と科学は手を組んで互いに高め合うことができるし、そうあってほしいと願います。