from 一心塾 ー 心身教育研究所 ー

カウンセリング、フォーカシング、仏教、ヨーガ

環境への甘え

 一人の人間にとって、自分以外のすべてのものは「環境」である。例えば口うるさい親がいるとしたら、それも環境である。もちろん家が裕福であるとか、貧乏であるとか、そういうことも環境である。環境とは私たちが「付き合っていく」対象である。

 「自分以外のすべて」と言ったが、実は自分の容姿とか、体質、嗜好、考え方の癖なども「付き合っていく対象」という意味では環境である。

 環境はなかなか変えがたいものではあるけれども、きちんと向き合い、付き合い方を工夫することで案外変化して、良い環境になっていったりもする。素顔が少々気に入らなくても、化粧によってお気に入りの自分になれるし、口うるさい親に対して、少しやさしく接するようにしたら、うるさくなくなるかもしれないのである。

 環境は甘えの対象になりやすい。裕福な家庭に生まれ育った人が、貧乏な暮らしをせざるを得なくなったとき、そのように仕向けた存在(家族?会社?、あるいは国?)に愚痴を言うことになるだろう。甘えないとは、与えられた環境に向き合い、なんとか工夫しながら生きていくことである。また、今が楽な環境であるなら、その環境に甘えていられる自分を自覚し、厳しい環境に生きる人々を思いやることである。