from 一心塾 ー 心身教育研究所 ー

カウンセリング、フォーカシング、仏教、ヨーガ

人の話を聴けるということ

 人の話を聴けない人がいます。この人は相手の視点を理解できず、自分の視点でしか相手のことを理解しようとしないので、多くの会話はすれ違いとなります。

 思い込みが強く、「相手はこう考えているに違いない」と断言的に受け取り、またそのように主張します。自分の心が落ち着かないときは、周りの世界が悪意に満ちているように感じてしまうことがよくあります。

「どうせみんな私のことを嫌いなんだ。私なんかこの世からいなくなればいいと思っているんだ」

と考えて、悲しくなります。

 「そんなことないよ」となだめても、なかなか通じません。それでも優しくされたり褒められたりすると、だんだん調子が良くなってきます。

 人の話を聴けないのは、自分の考え方、ものの見方にこだわることで「自分」を保とうとするからです。その人にとって「自分」とは、自分の考え方であり、ものの見方であり、自分流の価値観です。人の価値観などを受け入れるのは「自分」をなくしてしまうような怖さを覚えます。

 そんな小さな「自分」にこだわらずに済むようになるためには、やはり他者の話に耳を傾け、他者の考えや価値観を理解する練習を続けることではないでしょうか。

 聴くことは素晴らしい修行です。