from 一心塾 ー 心身教育研究所 ー

カウンセリング、フォーカシング、仏教、ヨーガ

一心塾だより 第19号

生きる意味と心理主義
 
  「心理主義」という言葉があります。「心」というものがあって、それがうまく機能していないからいろいろ症状が出るのだという考え方で、精神分析を始め、多くの精神療法がこの考え方に則っています。
 しかしこの考え方には落とし穴があります。心のことを考えすぎると、心が不調になって来るのです。睡眠のことを考えだしたら眠れなくなっちゃったというのと同じです。『夜と霧』の著者で精神医学者のヴィクトール・フランクルがこのことを強調していました。
 フランクルは、生きる意味を見出すことによって心が健康になることを見出し、「ロゴセラピー」を創始しました。「心」にこだわるより、前向きになれることに向き合っていれば、勇気も力も出てきます。また、今直面しているいろいろな問題にも、きっと生きる上での意味があると捉えるようにすれば、何か感じが変わるのではないでしょうか。
 ところでフォーカシングは心理主義でしょうか。心の“中”に何か隠れたフェルトセンスを探し出そうとすれば心理主義に陥るかも知れません。ジェンドリンは、フェルトセンスは私たちとあらゆる事柄の“間”にあると言っています。そしてフォーカシングはその事柄が私たちに与えている暗黙の意味をひもといてくれます。ロゴセラピーとフォーカシングは良いコンビだと思います。