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from 一心塾 ー 心身教育研究所 ー

カウンセリング、フォーカシング、仏教、ヨーガ

代理トラウマ

 幼い子は家族が抱えるトラウマにからだで共感してしまって、訳もわからず傷ついてしまうことがあります。これを「代理トラウマ」といいます。
 先月カナダからマリーンというパワフルおばさんがフォーカシングの研修講師として博多にやってきたときに学んだことです。
 子どもは家族のトラウマだけでなく、地域や歴史が抱えるトラウマにも反応して傷ついてしまいます。言葉が操れれば「お母さんはストレスをたくさん抱えて大変だ」というように理解することでダイレクトな共感が緩和されますが、言葉が育つ前は本当に傷つきやすいのです。言葉は心のバッファー(緩衝装置)なのです。
 言語獲得の前に受けた傷については、自分でも何で苦しいのか、何で悲しいのか、何で腹立たしいのか理解できません。もちろん家族も傷つけた覚えがないので、わが子がなぜいつも泣いているのか理解できないでしょう。いつか大人になったとき、「ああ、この苦しみはお母さんの苦しみだったんだ」とか「家族全体が背負ってきた地域や歴史のトラウマを自分も知らないうちに背負ってしまっていたんだ」と気づければ、そこから代理トラウマは解消に向かうでしょう。
 マリーンはアメリカ・インディアンが抱える代理トラウマの治療に画期的な効果を上げたシャーリー・ターコットからこの知識を学んだといいます。シャーリーは「子どもはそうやって傷つきながら家族のトラウマを吸収している」とコメントしています。子どもが大人にとっての癒しであり救いであるのはそんな悲しい理由もあるのです。しかし大人はこのことに早く気づいて、子どもの負担を軽くしてやらなければなりません。大人は自分のトラウマにきちんと向き合うのでなければ、知らないうちに子どもを傷つけてしまうことを自覚するべきです。しかしトラウマに向き合うのは大人でも辛いことです。ぜひカウンセラーと共に向き合いましょう。
 トラウマは脳の機能を部分的に低下させますので、発達障碍のような様子を呈することがあります。代理トラウマについてもそういうことが言えるのかどうかはわかりませんが、可能性は考えておく必要があります。