from 一心塾 ー 心身教育研究所 ー

カウンセリング、フォーカシング、仏教、ヨーガ

フォーカシング入門 1

何だかわからないけどイライラしたり、どうしていいかわからなかったり、やらなければならないのにやる気が起きないとか、私たちは自分を持て余すものです。人生を無駄にしているようで焦ってみても、だからといって「これでいい」という感じはなかなか得られません。
 少しの間ゆっくり自分を感じてみましょう。あなたの"イライラ"や"やる気が起きない感じ"はどこから来るのでしょうか。いろいろなことが思い出されるはずです。「試験が近いけど勉強できないなあ」、「最近親子の間がぎくしゃくしているなあ」、「そういえばこの前友だちと口げんかしたなあ」、「この先どうしていいのか迷っているなあ」などなど。どうやらあなたは「この先どうしたらいいんだろう」と思ったときに一番強く"イライラ"を感じるようです。また「勉強できてないなあ」と思ったときに"やる気が起きない"感じが強くなるようです。そしてどちらかというと"イライラ"の方が"やる気が起きない"ことよりより重要な気がします。そこであなたは気づくことになります。 「そうか、自分はこの先どうしたらいいのかということで迷っているからイライラするんだ」
 そう気づいたときに不思議とイライラが収まっています。それはきっとあなたの中ですでに新しいアイデアが浮かんできているからです。
「まあ、先のことはゆっくり考えればいいや。それよりも今やるべきことをやるかな。そうだ試験が近いから勉強しようっと」
 イライラもやる気のなさももう感じられなくて、スッキリした感じが戻ってきました。これがフォーカシングの一例です。とても簡単なことですし、多くの人が自然にやっていることです。
 ところが忙しすぎたりストレスが多かったり、その他様々なことが原因となって、気づかないうちにこの心の自然な浄化作用が効かなくなってしまうことがあります。そんなときに少しわざとらしくフォーカシングをやってみると心の機能が復活します。以下にやり方を示します。

1,目を閉じてゆったり呼吸します。そうすることでからだ全体にゆったりした感じが広がっていきます。目を閉じたくない人は開けていてもいいです。

2,次に「今自分はどんな感じかな」と自分に問いかけてみます。からだはいろんな感じを抱えているものです。ゆったりして内側に目を向ければそれらに気づけるはずです。

3,一つ一つの感じに対して「こんな感じが自分の中にあるなあ、それぞれどんな事柄と関係しているんだろう」と問いかけてみます。

4,一番気になる感じや事柄を一つ取り上げます。事柄の中心的なことは何でしょうか。また、それに対する感じを何と言い表せばよいでしょうか。上の例では「この先どうしたらいいんだろう」と「イライラ」がそれぞれ当てはまります。

5,4の作業をしていると事柄に対する見方の変化と感じの変化が起こります。上の例では「先のことはゆっくり考えればいいや」と見方が変化すると同時にスッキリした感じになりました。
 しばらくシリーズでフォーカシングについてお伝えする予定です。

(この記事は、スクールカウンセラーだよりとして昨年11月に書いたものです)