from 一心塾 ー 心身教育研究所 ー

カウンセリング、フォーカシング、仏教、ヨーガ

自己を哀れむ人

 自己を哀れむとは自己に対する同情である。「かわいそうに」と自分に対して思うその背景には「誰も私を救ってくれない」、「誰も自分の気持ちなど理解できない」という不満がある。それはつまり誰かに心のケアしてもらいたいという甘えの裏返しである。しかしその甘えが長く叶えられないと次第に人や社会に対する恨みや被害者意識が定着する。これを他者が簡単にぬぐうことはできない。なぜならその恨みや被害者意識は関わろうとする他者に向けられてしまうからである。その人は辟易して関わりを止めたり、たしなめたりする。するとさらに「誰も私を救ってくれない」「誰も自分の気持ちなど理解できない」という思いが強まることになる。
 自己を哀れむ人は自分で気づく以外にない。自分が自分を救うのだと。自分が自分の気持ちを理解するのだと。そして自分の中の甘えに気づくことで恨みや被害者意識を強化していく悪循環をストップさせる必要がある。フォーカシングはそれを可能にする。
 自己を哀れむ人を家族に持つ人は大変である。どうしてあげられるだろうか。次回考えてみることとしよう。