読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

from 一心塾 ー 心身教育研究所 ー

カウンセリング、フォーカシング、仏教、ヨーガ

自分をかわいそうがるのはつまらんことですよ

 7月3日放送の「ゲゲゲの女房」での水木しげるのセリフ。腕のいい電気工事職人のマサシは、シベリア抑留中にそのせいで優遇されていると勘違いされて仲間からつるし上げられる。帰国すると我が子が3年前に病死したと知らされ、以来20年近くトラウマから立ち直れず、ろくに仕事もしない。水木マンガのファンであるマサシは水木に「仕事に裏切られたらどうする?」と問う。
 水木しげるは「戦争ではみんなエライ思いをしましたなあ。仲間がたくさん死にました。死んだ人たちは無念だったでしょう。みんな生きたかったんですから。だから自分は生きている者に同情はせんのです。自分も貧乏しとりますが、好きな漫画を描いているんだから、ちっともかわいそうではないです。自分をかわいそうがるのはつまらんことですよ。」(セリフの細部は正確ではありません)
 トラウマを持つ人は自分を哀れむ。その雰囲気は他者からの同情を誘ったり、あるいは冷めたい視線を誘うこともある。しかしいくら人が同情してくれても、あまり元気になれるわけでもない。「生きている。これほどの喜びがあるか」どん底から復活した本物の楽天家、水木しげるはそう言いたいのだろう。その哲学はすばらしい。
 ただ、水木とマサシには戦争体験という共通項があるからこの言葉が通じたことは忘れてはならない。トラウマが癒えるにはそれなりのプロセスが必要である。最後のとどめとして言える言葉ではないだろうか。