from 一心塾 ー 心身教育研究所 ー

カウンセリング、フォーカシング、仏教、ヨーガ

わがままとあるがまま

 わがままとあるがままの違いについて昔ずっと考えていた。その違いは紙一重のようでいて大きく隔たってもいる。
 二つを見分ける重要なポイントは、その人が甘えに気づいているかどうかではないだろうか。わがままな人は自分が周囲の人に甘えていることに気づいていない。周りの人が自分のことを世話し、後始末してくれることを当然と思っていて、それどころかそれをしてくれないと怒り出す始末である。
 あるがままな人は甘えないわけではない。むしろしっかり甘える。しかし自分が甘えていることに気づいていて上手な甘え方を心得ている。つまり感謝を忘れないし、また他者を甘えさせもする。テレビドラマで見る坂本龍馬もそのような人であったように思う。
 「甘える」とは心のエネルギーの補給である。「食べる」が体のエネルギーの補給であるのと同じように。私たちは食事に対価を払うように、甘えにも対価が伴うことを知るべきである。しかし家で食べる食事に対価を払わないように、家庭内での甘えはどうしても“ただ”と見なされやすい。
 わがままな人は相手からエネルギーをただで摂取しようとするから実はあまり得られない。だからエネルギーが不足しがちである。そのこともまた他人を恨む材料になっているのだから救われない。