from 一心塾 ー 心身教育研究所 ー

カウンセリング、フォーカシング、仏教、ヨーガ

万能感2

 「自己」のエッジを認識できていれば、エッジにおいて自我が十分に機能し、フロンティアのごとくエッジを開拓していく。そして自己が拡大していく。これが生きているということだ。
 猫が縄張りを巡回する。その縄張りは猫の自己であり、縄張りの境界(エッジ)は猫の自我である。猫においてエッジの認識ははっきりしている。ところが人間のエッジは猫のようにはっきりしない部分も多い。それは“縄張り“が多層的だからだろう。
 料理が得意な一人の男は料理を縄張りとして、できる領域とできない領域の間に明確なエッジを見いだすことができる。そしてできる領域を広げていこうと努力するだろう。ところが彼は金には無頓着であり、経済という縄張りのエッジを認識できていない。できること、できないことの境界が曖昧なため、無茶な店舗拡張をして結局店を潰してしまったとする。彼は経済に万能感を抱いてしまっていたのだ、周囲の心配をよそに「なんとかなるさ」と。
 このように人間の縄張りは多層的であらゆるところで自我を働かせ切れない。要は日々あらゆる分野に興味を持ち、勉強し体験するということが大事なのだが、そう書きながら身につまされる。