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from 一心塾 ー 心身教育研究所 ー

カウンセリング、フォーカシング、仏教、ヨーガ

竜宮タイプ

 スクールカウンセラーとして小中学校へ出かけるようになって10年になりますが、発達障害を疑わせる子供が増えたと実感しています。クラスに2人くらいはいると思います。
 この子たちは人間関係の取り方がうまくありません。少しかかわってみるとわかるのですが、人間関係を結ぶセンスが育っていないと言った方が正確でしょう。うまく甘えることができないという見方もできます。
 甘えは、こちらがやさしくすることで相手のやさしさを期待をするというようなギブ&テイクの側面があります。そしてこのギブ&テイクが非常に複雑な関係を構築するのが一般的な甘えですが、発達障害の子はその複雑さに欠ける感じがあります。こちらがやさしくすると(それが相手のツボにはまっている必要がありますが)すごく喜んで、過剰なほどサービスしてくれたり、逆にツボを外すと全く反応してくれません。ストライクゾーンが狭いと表現したら良いかもしれません。
 偶然、そのツボにはまるかかわりをしてくれる友だちがいたりするととても仲良くなりますが、友人関係に広がりが見られません。気持ちを察してもらいたいと強く望んではいますが、他者の気持ちを察することは難しいようです。共感能力が育っていないということかもしれません。
 私は08年に出版した著書「こころの天気を感じてごらん」(コスモス・ライブラリー)でこういうタイプを「竜宮タイプ」と名付けました。子宮から出ても、あまり人間社会に馴染もうとせず、安全な殻の中(竜宮)で自己満足的な世界に浸ろうとするのです。ですから竜宮タイプの子は、例えば野球選手の名前をすべて覚えていたり、恐竜図鑑を肌身離さず持っていたり、というように安心できる世界を人間社会以外のところに求めているのです。
 人間関係のセンスは磨かれなくても、数字の世界や音楽の世界などと非常にセンスよく交流していることもあります。その意味では発達障害というのは「平均から外れている」ということでしかありません。しかし人間社会で生きていかなければならない現実を考えると、少しでも人間関係のセンスを身につけさせてあげる必要があります。その方法はといえば、ツボにはまったかかわりをしてあげること、共感能力の希薄さを補うために「あの人は今、こんな気持ちでいるんだよ」と教えてあげることなどが有効です。
 地理センスや経済センスが育っていないこともあります。要するにその世界と交わろうとしなければそうしたセンスは育たないのです。ならばそうした世界に触れさせて、手取り足取り法で指導して行くのみです。