from 一心塾 ー 心身教育研究所 ー

カウンセリング、フォーカシング、仏教、ヨーガ

志を持つということ

4年前の大河ドラマ「花燃ゆ」では吉田松陰を伊勢谷友介が好演していました。松陰は多くの格言を残していますが、ドラマの中で「君の志は何か」と塾生に問う場面が胸に響きました。それ以来、ときどき私も、「君の志は何か」と自分自身に問うようにしていま…

さり気ないやさしさ

「立ってる者は親でも使え」と言うことわざがあります。「悪いけど、それ取ってくれない?」と、「悪いけど」という言葉でも頭につけてくれれば、一応こちらの人格を尊重してくれているのだなと思って、快く応じられますが、命令調に言われると腹が立ちます。…

内なるモンスターのあしらい方

自分のやることなすこと考えることに対して、強烈なダメ出しをするモンスターが住んでいるという人が、意外と多いようです。 例えば、「今日は買い物に行ったついでに、新しくできたカフェをちょっと覗いてみようかな」なんて思った途端に、「バカなこと言っ…

一心塾だより 第25号「哲学カフェ」

新年明けましておめでとうございます。 昨年は皆さまにとってどんな一年だったでしょうか。今年はどんな一年になりそうでしょうか。 僕は、昨年は「哲学カフェ」と出会った年でした。だんだん参加者も増え、12月には20人で「生きがいって何?」というテーマ…

心の非暴力

ヨーガの根本経典と言われる『ヨーガ・スートラ』にはヨーガの修行の8段階が示され、その最初の段階として禁戒が説かれます。 禁戒は5つあり、その最初が「非暴力(アヒムサー)」です。有名なガンジーの非暴力によるインド独立運動は、ヨーガにおいて最初…

論理と共感の際どいバランス

先日、杉田議員のLGBT批判に反駁して、自らが同性のパートナーがいることをブログで公表した日本文学者ロバート・キャンベル東大名誉教授ですが、ラジオのインタビューを聴いていて、その言葉が非常にフォーカシング的で感銘を受けました。氏のブログを読ん…

因果を見るということ

因果というのは原因と結果です。因果を見るというのは、原因と結果のつながりについて観察し続けるということです。 私はくしゃみが出やすい体質のようで、風呂上がりにしばらくすると立て続けにくしゃみが出ます。すると頭が熱くなってボーとしてしまいます…

集中瞑想とマインドフルネス瞑想

お釈迦様は釈迦族の王子の身分を捨て、出家されてから有名なヨーガの先生の下で修行を積まれました。そこではヨーガの正統な修行法である集中瞑想を教えられました。 何かの対象に集中していると、最初は「“私”がその対象に集中している」という状態(ダーラ…

傾聴に必要な二つの力(一心塾だより 第24号)

「東ロボくん」をご存知でしょうか。東大合格を目指すロボットなのですが、このプロジェクトを率いた新井紀子先生の目的は、AIにできなくて人間にできることは何か、を明らかにすることでした。それが「意味を理解すること」つまり「読解力」だと言うのです…

「得体が知れない」ことのパワー

ダライ・ラマ法王の来日講演をネット中継で見ていましたが、法王は脳科学や物理学(特に量子力学)と意識の関係に非常に興味を持っておいでのようでした。科学者との対話はずっと続けていらっしゃるようです。 昔、宗教や占いが力を持っていたのは、「得体の…

人の話を聴けるということ

人の話を聴けない人がいます。この人は相手の視点を理解できず、自分の視点でしか相手のことを理解しようとしないので、多くの会話はすれ違いとなります。 思い込みが強く、「相手はこう考えているに違いない」と断言的に受け取り、またそのように主張します…

「自我」の3つの意味

「あの人には自我の強いところがある」という言い方には、少し否定的なニュアンスがあります。「我が強い」とも言います。「自分にこだわりがあって、他者を受け入れることができにくい」という意味に使われていると思います。そこから「自分にこだわりがな…

生まれ変わること

浄土宗や浄土真宗では、死後は、この上なく清らかな極楽の国、「浄土」に生まれる事になっていまる。これを「往生」といいます。キリスト教では死後は天国に生まれるといいます。同じ発想といってよいでしょう。生前の行いが悪ければ地獄に生まれるという脅…

他人の短所は、ことこまかに心配って取り繕ってあげる

菜根譚(第122節)の言葉です。 「他人の短所は、ことこまかに心を配ってとりつくろってあげることが必要である。もしその短所を暴き立てて示すなら、それは自分の短所で人の短所を責めるようなもので、それでは他人の短所を改めさせることはできない。後略…

ロジャーズの3条件とフォーカシング

有効なカウンセラーであるための中核的な条件として、ロジャーズが「自己一致」、「無条件の肯定的関心」、「共感的理解」という3条件を示したことは非常に有名で、ロジャーズ派のカウンセラーはこれを金科玉条のごとく守ろうとしてきました。 「自己一致」…

一心塾だより 第23号

ロジャーズの3条件とフォーカシング 有効なカウンセラーであるための中核的な条件として、ロジャーズが「自己一致」、「無条件の肯定的関心」、「共感的理解」という3条件を示したことは非常に有名で、ロジャーズ派のカウンセラーはこれを金科玉条のごとく…

リラックスして考える ― セルフ・フォーカシング ―

今の体験に常に気づきながら行う一心塾のマインドフルネス・ヨーガ。プログラムの最後は当然マインドフルネス瞑想です。 物音に気づき、呼吸に気づき、姿勢に気づいています。しかし一切の善悪判断や好き嫌いの感情にはまり込まないようにしています。もちろ…

体験過程尺度について

リスナーをする上でも、日常で人の話を聴く際にも、以下の「体験過程尺度」*を知っておいて、それに当てはめながら話を聴く習慣をつけると、フォーカシングの理解やリスニングの上達に役に立つと思います。 <出来事中心の段階> 1,(体験過程尺度が非常に…

一心塾だより 第22号

体験過程尺度について リスナーをする上でも、日常で人の話を聴く際にも、以下の「体験過程尺度」*を知っておいて、それに当てはめながら話を聴く習慣をつけると、フォーカシングの理解やリスニングの上達に役に立つと思います。 <出来事中心の段階> 1,…

一心塾だより 第21号

フォーカシングのリスニングはなかなか難しいものです。 同じくらいにフォーカサーであることも、一筋縄では行きません。だからリスニングは難しいともいえます。 聞いてもらいたいことはあるけど、フェルトセンスははっきりしない。そういうことの方が多い…

一心塾だより 第20号

5月のフォーカシング・サンガの折に島根大学の川瀬雅也先生に参加していただき、後半を哲学カフェという設定しにして、「差別」について皆で考えました。 先生の巧みなリードで徐々に皆の考えが深まっていき、最終的に僕の中に出てきた差別というテーマにつ…

一心塾だより 第19号

生きる意味と心理主義 「心理主義」という言葉があります。「心」というものがあって、それがうまく機能していないからいろいろ症状が出るのだという考え方で、精神分析を始め、多くの精神療法がこの考え方に則っています。 しかしこの考え方には落とし穴が…

一心塾だより 第18号

社会問題フォーカシング ロジャーズはエンカウンターグループで差別や民族間の対立の問題に一石を投じようとしてノーベル平和賞の候補に上がったと言われています。ジェンドリンもまた、社会問題に関心を持っていました。一人の人間の一つの悩みは一つの社会…

一心塾だより 第17号

フォーカシング健康法 3月18日に第1回中四国フォーカシングセミナーが岡山市で開催され、福岡の森川友子先生のご指導で、フォーカシング健康法について体験的に学びました。一心塾だより講読者の方も多く参加されました。ドイツ辺りでは医者がフォーカシング…

一心塾だより 第16号

幸せについて あなたはいま幸せを感じているでしょうか?幸せ度は0~100%のどの辺りでしょうか。仮に60%としたら、あと何がどうなったら少なくとも80%に至るでしょうか。 こういう問いかけは頭も使うけど、からだの感じへのアクセスが頻繁に行われるはずです…

詩とフォーカシング

NHKラジオの第2放送でカルチャーラジオというのをやっていて、毎週木曜日は「文学の世界」です。この1~3月は批評家・随筆家の若松英輔さんが「詩と出会う 詩と生きる」というテーマでお話されていますが、今日はその第1回目をちょっと引用させていただ…

一心塾だより 第15号

詩とフォーカシング 寒中お見舞い申し上げます。マイナス4℃を体験しましたが、これが2℃になったらなんだかホッとしている自分がいて、ちょっと可笑しくなりました。 NHKラジオの第2放送でカルチャーラジオというのをやっていて、毎週木曜日は「文学の世界…

一心塾だより 第14号

体験的傾聴 フォーカシングは、私たちが自らの感覚を羅針盤として物事に対処したり、生き方を決めることができるようになるための、この上なく重要な技術と知恵です。その習得に際して確実に掴み、意識化できるようにしなければならないのが、「今この瞬間の…

一心塾だより 第13号

ジェンドリンの思い出 フォーカシングの創始者ユージン・ジェンドリンが今年5月1日に亡くなって、日本フォーカシング協会(http://www.focusing.jp/)のニュースレターには前号、今号と追悼の文章が数篇ずつ寄せられています。ジェンドリンから掛けられた印…

一心塾だより 第12号

いつもフォーカシング・サンガに参加してくださる方が、セッションの中で「自分は波を受ける岸になる」と表現されました。私は感想として、「岸は、陸と海の境界、つまりエッジ。そこには貝とかカニとか、いろんな生物が生まれ育つところ。とても豊かなとこ…